僕は『つんくプロディース作品を認めている?』と訊かれると返事に困ってしまうのだが、最近友人の強い薦めで松浦亜弥のシングル3部作を聴いてみて、とても驚かされた。

 (シャ乱Qを含め)成功したつんくプロデュース作品から浮かび上がってくるキーワードは、『80年代サウンドの王道』だと僕は思うのだが、そこでは当然、ディスコ(あくまでクラブじゃなくてディスコ)・歌謡曲(特にムード歌謡が中心か)・アイドルポップス(基本は一流ミュージシャン製作だが、低年齢層を対象にするため分かり易い楽曲が求められる)が重点になっている。

 その中でも、松浦亜弥の楽曲のコンセプトは、アイドル歌謡を大きくクローズアップする事にあるのだろう。そして、今のつんくは明らかに最盛期の松本−大滝コンビの作風を意識していると感じられるのだ。

 僕にしてみれば、やはり松本−大滝コンビを連想させると言ったら大袈裟だけど、ここまで甘酸っぱい気分にさせられるポップスも久し振りだなぁというのが正直な感想だった。まあ、アイドル歌謡曲なんて僕はろくに聴いた事ないけど、王道はやはりこうでなければ…と言われているのも納得の品質なのは間違いない(別に大好きって程じゃないけど)。
 
 松浦亜弥の楽曲における歌詞のキーワードは、何と言っても『メール』だ。僕もメールが好きで毎日多用しているけど、『メールは諸刃の剣だ』と常々意識している。メールを利用すると相手と手軽にコミュニケーションが取れる反面、そのコミュニケーションは決して万能と言う訳ではなく、時には表面上だけの薄っぺらいコミュニケーションに陥ってしまう危険性を孕んでいると思うからだ。

 特に恋愛が絡み出すと、相手からメールが来る・来ないでその都度一喜一憂したり、メールの文章の裏側に見え隠れする相手の気持ちを深読みしたりして、メールによって翻弄されてしまうものだ。いくら『メールなんて下らないし、何もたいした事じゃない』と強がってみても、ついメールに頼ってしまう…。そんな現在の恋愛の一側面を、松浦亜弥の楽曲は等身大に切り取っている。

 モーニング娘。/“LOVEマシーン”で確立した『みんなでワイワイ騒げるアッパーでイケイケなダンスナンバー』と言う作風も、最新曲“ザ☆ピース”の石川‘チャーミー’梨華の台詞をフィーチャーした事(個人的には嬉しいんだけど)で、やり尽くした感があると言うか、所謂飽和状態に陥った印象が強いと僕は思う。これまで手を変え品を変えて曲のヴァリエーションを増やして来たが、振り返ってみると所詮は浅はかなその場しのぎと思えてならない。

 自分でも厳しい論調だとは思うけど、ここ数作のモーニング娘。の楽曲を聴いていると、つんくが過去の遺産にすがってばかりいて、これから何をしていきたいのかが不透明で見えてこない気がする。

 僕は特に熱心なつんくリスナーじゃないんで一概にそう断言は出来ないだろうけど、自分の論点がそんなに的外れでもないはずだと思っている。だからと言って、別に応援する気は更々ないし、僕としてはコンセプト的にはノリに乗っている松浦亜弥のデビューアルバムを区切りに、つんくには第一線を退いてもらっても良さそうな展開だなぁと思っている。

 今回はテロ事件の重い雰囲気を払拭すべく、あえて軽い(むしろどうでも良い様な)内容に絞ってみた。何かざらにもない話題だけど、たまにはリハビリを兼ねて肩の力を抜かなくちゃならないと言う訳で。

Thanks For The Inspirations Of…

シュガーベイブ/「ソングス」
はっぴいえんど/「はっぴいえんど(ゆでめん)」
ザ・スパイダース/「ロックンロール・ルネッサンス」
ザ・タイガース/「モナリザの微笑」
ウルフルズ/「バンザイ」
宇多田ヒカル/「Distance」
細野晴臣/「Hosono House」
砂原良徳/「Take Off And Landing」
桑田佳祐/「フロム・イエスタデイ」
大滝詠一/「大滝詠一(ファースト)」
松浦亜弥/“ドッキドキ!LOVEメール”“トロピカ〜ル恋して〜る”“LOVE涙色”

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