全て然るべき場所に存在する(Everything In Its Right Place)
2001年10月10日 本日からちょうど1週間前の10月3日(水曜日)に、横浜アリーナでレディオヘッドのライブを見て来た。レディオヘッドは90年代後半〜現在21世紀の幕開けにかけて、間違いなく世界最高峰のロックンロール・バンドだ。色々と批判があるかもしれないが、そういった幾多の批判がある状態を含めても、今のレディオヘッドが世界最高峰のロックンロール・バンドと言う地位に位置付けられている事実は揺るがないと思う。
レディオヘッドは、『Kid A』『Amnisiac』という連作を持って、完全に既存のギターロックという枠組から超越したバンドになった。この際、『Kid A』『Amnisiac』が失敗作だったかどうかって言う欠伸が出るような議論はどうでもイイ。ただ、今のレディオヘッドが到達した段階を見上げている現実を目の前にすると、欠伸はおろか議論の意味自体が失われてしまう。
そもそも、レディオヘッドがギターロック・バンドとしての範疇に収まっていたのは、『The Bends』までの話だと思う。限られた環境の中で模索しながらも、一般のギターロックとしては名盤に仕上がったデビュー作『Pablo Honey』を惜しげもなく葬り去る事で、レディオヘッドは早くも『The Bends』において、ギターロックをフォーマットとするサウンドを完成形にまで持っていってしまった。レディオヘッドによるギターロックと言うオリジナリティーを確立したとも言えよう。
だから、今となっては歴史的名盤として誰もが評価する『Ok Computer』も、発表された当時は『The Bends ?』を渇望するリスナーにとっては、違和感を与えるだけになってしまった。『The Bends』の世界観は完結してしまったのだから、そこから延長線を辿ろうというのが間違いなのだ。自分達の進歩に妥協を許さず、得意技を封印してしまうと言った、レディオヘッドの強い意思が介するからこそ、『Ok Computer』は世界構造を音像することに成功したとまで言われるようになったのだ。
こうしたレディオヘッドの姿勢は、ともすれば自己欺瞞に溢れたものであって、バンドの変化について行けないリスナーを容赦なく切り捨てると見られても仕方がない。リスナーに迎合しないと言えば聞こえは良いが、ただ単に非常に身勝手なバンドなだけなのかもしれない。しかし、レディオヘッドは発信者としての自己に妥協を許さないと同時に、バンドの変化を理解してもらいたくて、受容者としてのリスナーに対しても力を抜く事を認めることが出来ない不器用なバンドなのである。
世界最高峰のバンドであっても、常に葛藤と不安に苛まれているのだろう。イヤ、むしろ世界の頂点に君臨しているからこそ、誰にも理解してもらえない様な独自の苦悩を背負わなければならないのかもしれない。レコード(記録)とは違ってライブ(生演奏)は、一夜限りのすぐに消えてしまう儚い音の揺らぎに過ぎない。いつまでも手元に残るレコードがあれば、ライブなんて必要ないと思う人がいるかもしれない。しかし、記憶と共に呆気なく薄らいでしまうからこそ、ライブの音は理性に反して身体を震わせるのであり、それが世界最高峰のバンドの音を体感するとなったら尚更であろう。
--- Set List ---
1. The National Anthem
2. Hunting Bears
3. Morning Bell
4. Airbag
5. Lucky
6. In Limbo
7. Knives Out
8. No Surprises
9. Dollars And Cents
10. Talk Show Host
11. Just(Do It Yourself)
12. Exit Music(For A Film)
13. I Might Be Wrong
14. Pyramid Song
15. Paranoid Android
16. Idioteque
17. Everything In Its Right Place
--- Encore ---
18. Like The Spinning Plates
19. My Iron Lung
20. You And Whose Army
21. How To Disappear Completely
--- Encore 2---
22. Karma Police
23. Street Spirit
※ 『The Bends』&『Ok Computer』の楽曲についてはもちろん、僕としては“Idioteque”・“Everything In Its Right Place ”がCDのアレンジよりも格段に良くて素晴らしかった。まさか、レディオヘッドの曲であんなに踊れるなんて…。あえて不満を言うならば、“The Bends”“Fake Plastic Tree”“The Tourist”を聴きたかったなって事くらいか。
レディオヘッドは、『Kid A』『Amnisiac』という連作を持って、完全に既存のギターロックという枠組から超越したバンドになった。この際、『Kid A』『Amnisiac』が失敗作だったかどうかって言う欠伸が出るような議論はどうでもイイ。ただ、今のレディオヘッドが到達した段階を見上げている現実を目の前にすると、欠伸はおろか議論の意味自体が失われてしまう。
そもそも、レディオヘッドがギターロック・バンドとしての範疇に収まっていたのは、『The Bends』までの話だと思う。限られた環境の中で模索しながらも、一般のギターロックとしては名盤に仕上がったデビュー作『Pablo Honey』を惜しげもなく葬り去る事で、レディオヘッドは早くも『The Bends』において、ギターロックをフォーマットとするサウンドを完成形にまで持っていってしまった。レディオヘッドによるギターロックと言うオリジナリティーを確立したとも言えよう。
だから、今となっては歴史的名盤として誰もが評価する『Ok Computer』も、発表された当時は『The Bends ?』を渇望するリスナーにとっては、違和感を与えるだけになってしまった。『The Bends』の世界観は完結してしまったのだから、そこから延長線を辿ろうというのが間違いなのだ。自分達の進歩に妥協を許さず、得意技を封印してしまうと言った、レディオヘッドの強い意思が介するからこそ、『Ok Computer』は世界構造を音像することに成功したとまで言われるようになったのだ。
こうしたレディオヘッドの姿勢は、ともすれば自己欺瞞に溢れたものであって、バンドの変化について行けないリスナーを容赦なく切り捨てると見られても仕方がない。リスナーに迎合しないと言えば聞こえは良いが、ただ単に非常に身勝手なバンドなだけなのかもしれない。しかし、レディオヘッドは発信者としての自己に妥協を許さないと同時に、バンドの変化を理解してもらいたくて、受容者としてのリスナーに対しても力を抜く事を認めることが出来ない不器用なバンドなのである。
世界最高峰のバンドであっても、常に葛藤と不安に苛まれているのだろう。イヤ、むしろ世界の頂点に君臨しているからこそ、誰にも理解してもらえない様な独自の苦悩を背負わなければならないのかもしれない。レコード(記録)とは違ってライブ(生演奏)は、一夜限りのすぐに消えてしまう儚い音の揺らぎに過ぎない。いつまでも手元に残るレコードがあれば、ライブなんて必要ないと思う人がいるかもしれない。しかし、記憶と共に呆気なく薄らいでしまうからこそ、ライブの音は理性に反して身体を震わせるのであり、それが世界最高峰のバンドの音を体感するとなったら尚更であろう。
--- Set List ---
1. The National Anthem
2. Hunting Bears
3. Morning Bell
4. Airbag
5. Lucky
6. In Limbo
7. Knives Out
8. No Surprises
9. Dollars And Cents
10. Talk Show Host
11. Just(Do It Yourself)
12. Exit Music(For A Film)
13. I Might Be Wrong
14. Pyramid Song
15. Paranoid Android
16. Idioteque
17. Everything In Its Right Place
--- Encore ---
18. Like The Spinning Plates
19. My Iron Lung
20. You And Whose Army
21. How To Disappear Completely
--- Encore 2---
22. Karma Police
23. Street Spirit
※ 『The Bends』&『Ok Computer』の楽曲についてはもちろん、僕としては“Idioteque”・“Everything In Its Right Place ”がCDのアレンジよりも格段に良くて素晴らしかった。まさか、レディオヘッドの曲であんなに踊れるなんて…。あえて不満を言うならば、“The Bends”“Fake Plastic Tree”“The Tourist”を聴きたかったなって事くらいか。
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